大判例

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東京地方裁判所 昭和39年(ワ)1466号・昭39年(ワ)1465号・昭39年(ワ)1464号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕………を総合すると、

1、原告加藤は建物の買入を訴外平和不動産に依頼していたところ、第一建物の所有者石原道弘から売却の依頼をうけていた訴外京葉不動産との間で交渉が始まり、京葉不動産が地主である被告から借地権譲渡の承諾をうることを条件として売買代金一二〇万円で原告加藤が石原から第一建物を買受ける契約が成立した。

2、そこで京葉不動産(代表者矢沢和一)は被告と借地権譲受の承認について交渉をしたが、埓が明かないので、建物取得の登記のため預かつていた原告加藤の実印および加藤禎宏の名刺を京葉不動産の従業員中島に持たせ、服装も同原告の営む鉄骨業者のそれに似せて、加藤と名乗らしめ、被告との交渉に当らせた。被告およびその夫である鈴木輔之は、右中島を原告加藤と信じ、息子のため本件土地が必要なので賃貸借期間満了の時は、地上建物を被告に贈与してくれるなら、賃貸借契約を締結してもよいと答えたところ、中島は原告加藤の意向をただすことなく、この申入を承知し、第一建物敷地について新規に土地賃貸借契約を締結し、あわせて本件第一建物贈与契約が締結された。

3、被告は司法書士西山英三郎の助言で、かかる異例な契約を結ぶ以上は、これを公正証書に作成する必要があると考え、翌日ごろ、西山および原告加藤になりすましている中島と共に公証人役場に行き、公証人武富貴志男に委嘱して本件贈与契約公正証書の作成を得たものであり、右公正証書には別紙第一債務目録記載のような内容の債務の記載がある。

4、原告加藤は、自分自身で本件契約締結については、被告と交渉したことはなかつたが、第一建物についての右贈与契約公正証書は、賃貸借公正証書と共に仲介者から受領しており、遅くとも昭和三七年九月か一〇月ごろ右建物を第三者に売却する話が起つたころまでには、右贈与契約公正証書の存在を知るに至つている。

<中略>

そこで、本件各贈与契約が借地法第四条に牴触するとの主張について判断する。

本件土地の各賃貸借契約には借地法の適用があることは明らかであるところ、本件贈与契約は、賃貸借期間満了の際に無償で建物を地主に贈与する旨を約諾せしめることによつて、期間満了の場合における契約更新の請求権ないし更新の負担ならびに建物買取請求権の成立を否定する結果となるものであることは否定できず、借地人である各原告に、借地法所定の利益を放棄、喪失せしめる特約と言わなければならない。もつとも、本件各贈与契約は形式的には各土地賃貸借契約と別個の書面によつて締結されているけれども、前示認定のとおり、各贈与契約は賃貸借契約締結の前提条件となつたものであるから、借地法四条、一一条により無効な特約に該当するものと解して妨げない。本件各贈与契約が、何ら借地権者に不利益を強いないものである特段の事情の存在については、なんら主張立証のない本件では、右特約を有効と解する余地はない。

(註――第一債務目録記載の債務内容、原告加藤は被告に対し、両者間の東京法務局所属公証人武富貴志男作成昭和三七年第二五号賃貸借公正証書に基き賃借中の土地上に所有する第一物件目録記載の建物を右賃貸借の期間満二十年の満了の時(昭和五七年一月一六日)において贈与することを約し被告はその贈与をうけることを承諾した。贈与物件の所有権は、前項の期限到来により当然に原告加藤より被告に移転するものとする。贈与の効果が生じたときは前記賃借権は消滅するものとする。(山本和敏)

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